(多言語に表されたダンテ)

言語の多様性に魅了されていたダンテは、様々な言語や方言を操るのを好み、『神曲』の中でも彼によって考案された言語(断片)が二つ見られる。一つはプルートーの言葉(pape satàn pape satàn aleppe)で、もう一つは神の意に反して有名なバベルの塔を建設した王、ニムロデの言葉である。彼は地獄にあって彼の圏内にダンテがやってきたのを見るや、ダンテに向かって激しく威嚇的で不可解な悪口«raphèl maì amecche zabì almi!» を投げかける。

 

ニムロデが不機嫌であっただろうことは理解できる。なぜなら彼は地獄の最後の環にあり、全能の神の永遠の怒りの報いを受けていたのだ。それもすべてあの塔のせいで!更にその上、皆が彼に罪を擦り付けようとして、彼こそが言語の混乱を引き起こした張本人だと言うのだった。
 

『神曲』 地獄篇 第三十一歌 六十七~八十一行

ギュスターヴ・ドレ画:バビロニア初代の王、巨人ニムロド(ニムロデNimrode)は、神の御心に反してバベルの塔を建設し、諸言語の混乱をもたらすことになる。


 
そこで、我々ダンテ・ポリグロッタとしては、ニムロデの肩を持ちたいと思う。と言うのも言語の混乱は - それがニムロデによって誘発されたものであったとしても - 不都合ばかりを呈するものではなく、計り知れない恩恵でもあるからだ。それは重要な文化的な豊かさでもあるのだ。
 
どの言語もそれぞれの音楽性、芸術的潜在性、文学的所産を有する。そして個々の文学作品は、その大小にかかわらず、存在する諸言語の膨大な数によって掛け合わされ増殖する力を潜在的に備えている。
 
『神曲』にあっては、この掛け算がなんとも驚くべき規模に達したのだ。ダンテ・ポリグロッタは60の言語と方言に翻訳された『神曲』約200点(版)を有し、そのサイトはダンテ作品の普遍性に敬意を表し、ネット利用者にこの豊かな文化遺産を知ってもらうことを目的にしている。『神曲』を愛する人たちの楽しみに、諸言語・諸方言を熱愛する人たちの歓びに、そして、バベルの塔のニムロデ王を慰めるために。

ダンテ・ポリグロッタ管理者

ジュリアーノ・トゥローネ 

*ダンテ・ポリグロッタは2012年10月に誕生し、持続的に成長するサイトを目指している。当サイトが有するダンテの『神曲』の各版は、それぞれが少しずつネット上に提示され、少なくとも各版のタイトルページと本文の一頁か数頁が掲載される。各所に、歴史・神話・言語学・文学・諸芸術にまたがって 掘り下げた考究・興味深い事実・各種逸話なども挿入されることになる。まずは – ça va sans dire – 言うまでもなく 地獄篇の詩編から始められる